About

河口慧海(1866-1945)は、明治期以降に日本人として初めて中央チベット、ラサまで到達した人物として知られ、その旅行記がつとに有名である。

仏教者であった河口は、数部の写本・版本のチベット大蔵経をはじめとして、数多くのチベットやネパールの仏教文物を日本に持ち帰っている。そのなかで、チベットやネパールに保存されていた貴重なサンスクリット語(梵語)仏典の写本も数多く持ち帰っており、それらは東京大学や立正大学などに現在でも保管されている。(なお、東大総合図書館に所蔵される梵語仏典写本の一部(貝葉本)については、Web上にて高精細画像が閲覧できる。)

本サイトにて公開する、河口慧海がチベットより将来した法華経 Saddharmapuṇḍarīka サンスクリット写本は、世界各地に数多く伝存・保管されている法華経梵文写本のうち、ネパール系統とされるもののなかで最も貴重なもののひとつとされてきたものである。2023年現在、同写本は東洋文庫に保存されているが、写本の劣化状況から研究者が閲覧することも制限されているような状況であると聞く。

そこで、1926年(大正15年)に刊行された影印本『梵文法華経』(池田澄達編、丸善)にもとづくかたちで本サイトで公開することにより、河口慧海が伝えた貴重な法華経サンスクリット語写本を、写本研究、原典研究に活用していただくことを企図するものである。

本サイトでは、『梵文法華経』(池田澄達編、丸善、1926年)よりスキャンした、河口慧海将来の法華経サンスクリット写本の画像を公開する。同書はコロタイプ印刷で刊行されたものであり、研究での利用に十分に耐えうる画像を提供できると考える。あわせて、同書の序文なども公開する。同書は既に著作権保護期間を過ぎた刊行物である。

本サイト構築にあたっては、Omeka S を利用し、画像共有規格のIIIFにも対応したかたちで画像を公開する。構築にあたっては、史料編纂所の中村覚氏よりさまざまな助力・助言をいただいた。ここに記して衷心より謝意を表する。

本サイトでの画像ビューア Mirador 3 の日本語での使用方法については、千葉大学リソースコレクションが公開するページを参照されたい。

また、画像ビューアーの右下端に示したアイコンのうち、下記のものを選択すれば、他の画像ビューアを利用することができる。Universal Viewerの日本語での説明については上記千葉大学リソースコレクションでの説明を、IIIF Curation Viewer については、開発元のCODHによる説明を参照されたい。

 

Universal Viewer
IIIF Curation Viewer